COLUMN
税理士の顧問料は、何に対して払うお金なのか
2026.11.01
税理士事務所の料金表を開くと、「顧問料」「記帳代行」「決算料」「消費税申告料」といった項目が並んでいます。
分かれている理由と、それぞれが何に対する料金なのか。そして「顧問料」とは、そのうちどれを指しているのか。順番に解説します。
料金は、4つの積み上げでできている
| 項目 | 何に対する料金か | 何で金額が決まるか |
|---|---|---|
| 顧問料 | 期中の判断への関与 | 事業の規模・複雑さ |
| 記帳代行料 | 帳簿をつくる作業 | 毎月の仕訳の件数 |
| 決算料 | 決算書と申告書の作成、申告に負う責任 | 年1回・事業の規模 |
| 消費税申告料 | 消費税という別の申告 | 課税事業者か・課税方式 |
① 顧問料
記帳も決算も別料金として並んでいる以上、顧問料は何に対する料金なのか。 答えは、決算を待たずに判断しなければならないことへの関与です。
事業を続けていると、次のような疑問が随時発生します。
・ 取引先との食事代は、どこまで経費になるか
・ 自宅で仕事をしている場合、家賃や電気代は入れられるか
・ 手伝ってくれている家族に給料を払ってよいか
・ 車を買った。今年の経費に全額入れられるか
答えるのに5分もかかりません。ただ、聞かずに自己流で処理すると、後から直せない場合があります。
そして、決算のときには手遅れになるものがあります。
| 決めようとしていること | 決まった後では |
|---|---|
| 社長自身の給料 | 期の途中で増やした分は、会社の経費にならないことがある |
| 業務委託への支払い | 実態によっては給与とされ、消費税と源泉徴収の扱いが変わる |
| 高額な機械やソフトの購入 | 使える優遇制度を選ばないまま確定してしまう |
| 消費税の計算方法 | 届出に期限があり、決算のときには間に合わない |
いずれも、判断できる期間が決まっていて、過ぎると戻せないものです。
顧問料は、この期間中いつでも聞ける状態を維持しておくことへの料金です。何も相談しない月があっても、それは正常です。使わなかった月の分が無駄になるというより、聞かないまま決めてしまう月を無くすための仕組みです。
② 記帳代行料
通帳の入出金や領収書、請求書を、帳簿の形に落とし込む作業です。
これは分量に比例します。取引が月に50件の事業と500件の事業では、かかる時間が10倍違います。記帳代行料が仕訳の件数や売上規模に連動しているのは、そのためです。
③ 決算料
決算書と申告書をつくり、税理士が署名して提出します。
年に一度の作業であること、そして内容に対して責任を負うことから、月額とは分けて年1回いただくのが一般的です。なぜその処理を選んだのかを、後から説明を求められたときに答えられる状態にしておくことも、ここに含まれます。
④ 消費税申告料
消費税の申告は、法人税・所得税の申告とは別の計算です。売上と仕入の一件ごとに、税率が10%か8%か、そもそも課税の対象か、仕入税額控除を受けられるかを判定して積み上げていきます。決算書ができれば自動的に出てくる数字ではありません。
決算料に含めて表示する事務所もありますが、当事務所が分けているのは、免税事業者の方からはいただかないためです。 含めてしまうと、かからない方にも金額が見えてしまいます。
なぜ、ひとつにまとめないのか
4つをまとめて「月額◯円」と表示することもできます。ですがまとめてしまうと、次のことができなくなります。
記帳を自分でやるという選択肢が消える。
顧問料に記帳が含まれていると、自分で入力しても金額は変わりません。減らせない費用は、選択肢ではなくなります。
かからない人にも、金額が見えてしまう。
免税事業者の方に消費税申告料はいただきません。決算料に溶かしてしまうと、その区別が料金表の上で消えます。
期の途中の契約や解約で、精算ができない。
決算料が月額に溶けていると、決算を迎える前に解約した場合や、期の途中から契約した場合に、何をいくら精算すべきかが決まりません。
どこが増えたのかが分からない。
事業が伸びて金額が上がったとき、それが取引量の増加によるものなのか、判断すべき論点が増えたからなのかが見えなくなります。
分かれているのは、選べるようにするためです。
記帳を自分でやるか、任せるか
記帳代行料が別建てになっている以上、ここは選べます。
任せる場合、浮くのは時間です。
小規模な会社や個人事業では、経営者の時間が事業でいちばん不足している資源です。そして経理は、やれば必ず終わる作業であるがゆえに、優先順位を上げやすい性質があります。締切があり、手を動かせば進み、終われば片づいた実感がある。営業や商品づくりのように、成果が出るかどうか分からない仕事より、着手しやすい。
ただ、月に10時間を記帳に使うか、その10時間を売上をつくることに使うかは、意味が違います。 記帳を自分でやって浮くのは記帳代行料の金額ですが、同じ時間を事業に向けたときの成果は、それを上回ることが少なくありません。経営者自身が経理作業に相当の時間を割いている構造は、規模が小さいときほど見直す価値があります。
自分でやる場合、浮くのは記帳代行料です。
当事務所では、freee会計にご自身で入力いただけるのであれば、記帳代行料はいただきません。数字を自分の手で触ることで、事業の状態が体感的に分かるようになり、業績や資金繰りが自然と分かるようになります。
ただ、正直に申し上げると、想像されているより手間はかかります。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込めても、勘定科目の判断や、自動では取り込まれない現金取引の登録は毎月発生します。
どちらが正解ということはありません。 向いているかどうかは最初の面談でご一緒に検討いたします。始めてみて合わなければ、途中から切り替えていただくこともできます。
それでも、金額を比べにくい理由
分けて表示するのが一般的だと申し上げましたが、それでも見積を並べると比べにくい。理由は、どこまでを「顧問料」の枠に入れて表示するかが、事務所によって違うためです。
- 記帳代行料を顧問料に含めている場合と、分けている場合がある
- 決算料を「顧問料の◯か月分」とだけ書かれている場合がある
- 消費税申告料を決算料に含めている場合と、分けている場合がある
- そもそも記帳代行料が料金表に載っていないことがある
最後の点には理由があります。記帳の量は事業者ごとに大きく違い、資料を見る前に金額を確定できない。だから内容を確認してから見積もる。実務としては自然な組み立てです。 ただ比較する側から見ると、記帳を含む金額と含まない金額が、同じ「顧問料」という名前で並ぶことになります。「顧問料 月額◯円〜」だけを横に並べても、判断材料にはなりません。
比べるときに揃える4点
・ 期中の相談に、回数や時間の制限はあるか
・ 記帳代行は含まれるか。含まれる場合、月に何仕訳までか
・ 決算料は別か。
・ 消費税申告料は決算料に含まれるか。免税事業者の場合はどうなるか
当事務所の場合は、次のとおりです。
- 期中の相談 ― 回数の制限はありません。ご来所・オンライン・電話・メールのいずれでも、追加料金はいただきません。
- 記帳代行 ― 別建てで公開しています。料金に含まれる月あたりの仕訳数も料金表に記載しています。
- 決算料 ― 別建てです。
- 消費税申告料 ― 別建てです。免税事業者の方にはいただきません。
そのうえで、4つを足した年間総額を売上規模ごとに料金表に掲載しています。お問い合わせの前に、ご自身の場合の金額をご確認いただけます。
まとめ
税理士事務所の料金は、期中の判断、記帳という作業、決算と申告への責任、そして消費税というもう一つの申告。この4つでできています。分けて表示するのは、そのうちどれを頼み、どれを自分でやるかを選べるようにするためです。
そして「顧問料」は、そのうち最初のひとつです。
当事務所では、顧問料・記帳代行・決算料・消費税申告料を含めた年間総額を売上規模ごとに公開しています。ご相談は回数無制限、最低契約期間や違約金はありません。
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